松本スイーツコンテスト2018 審査結果

グランプリ
- 作品名
- 松本ぼんBon
- 氏名
- 田中 恵
- 店舗情報
- プロヴァンスの日曜日
松本市南浅間635 TEL 0263-45-5558
松本市並柳4-3-35(※平成30年4月移転予定)
松本のりんごをシャキシャキ食感のキャラメリゼに仕上げ、季節の香りを加えたスイートポテトで包みました。赤色は自然の紫芋粉を使用し、体に優しく愛らしいスイーツです。大切な方への贈り物にどうぞ!
2018年1月20日、今年で3回目となる「松本スイーツコンテスト2018」の最終審査結果発表と表彰式会が行なわれ、入賞作品が決定しました。今回、グランプリに選ばれたのは、「プロヴァンスの日曜日」の田中恵氏による作品「松本ぼんBon」。表彰式の翌日、この4月1日から移転オープンする「プロヴァンスの日曜日」の新店舗に伺い、田中さんに取材をさせていだきました。
「プロヴァンスの日曜日」は、2010年3月、松本市南浅間にオープンしたフレンチのレストランです。田中さんはもともと、岐阜県のお生まれで、お菓子が大好きで専門学校に進学し、地元のホテルや、東京のフランス菓子店で販売や製造を経験。将来、独立する時のために紅茶についても学ぼうと、紅茶専門店のシェフパティシエも務めるなど、とても向学心が強く、熱意のある方です。その後、フレンチの料理人でいらっしゃるご主人と結婚され、一緒に今のお店をオープンされました。そのため、普段は、レストランのデザートや食後のお茶菓子を担当されています。
実は、田中さんは「松本スイーツコンテスト2017」の時から参加していらして、その時に準グランプリを受賞した「松本の音色フロランタン」が評判を呼び、予約で買い求められるレストランのお客様も増えたそうです。ただ、ご自分のことを「負けず嫌い」だとおっしゃるだけに、あと一歩のところでグランプリに届かなかったことで発奮し、次こそは!と再度挑戦し、見事な結果を出されました。

「松本ぼんBon」は、赤いりんごを模した可愛らしい姿が目を引き、りんごのお菓子かと思いきや、食べてみると意外にも、全体を包んでいるのはさつまいものスイートポテト。その中に、松本産のりんごを一口大にカットして、焦がした砂糖でキャラメリゼしたものがぎゅっと詰まっています。シャキシャキ食感もしっかり残っていて、確かにこれは、松本産の素材が活かされた、松本スイーツと謳うのにふさわしい一品だと感じられる作品でした。
“松本ぼんぼん”といえば、8月第1土曜に開催される、松本市恒例の夏祭り。2018年には第44回を迎えるという歴史を持ち、子供から大人まで2万数千人もの踊り手が参加するという、地元の方なら誰もがおなじみの一大イベントです。

「“松本ぼんぼん”というお祭りをお菓子にしてみたかったんです。“Bon”にはフランス語で“おいしい”という意味もあるし、響きも可愛いので。」と田中さん。松本市のりんごの産地と言えば、梓川。田中さんは、松本に嫁いでこの梓川のりんごに出会い、「こんなに美味しいりんごを食べたのは初めて!」と驚いたそうです。特に、旬の時期の「ふじ」は、蜜入りでしっかりと甘く、シャキシャキとした食感もある。そんな松本のりんごを使った美味しいお菓子を作りたい!という思いから始まった、今回の作品。幅広い年代の方に楽しんでいただけるよう、なじみのあるスイートポテトと組み合わせ、切った時に、蜜入りりんごの断面のように見えることも意識したそうです。

りんごのソテーは、砂糖を焦がしてキャラメリゼすることで、甘さだけでなく香ばしさやほろ苦さも加わり、より調和の取れた味にまとまっています。周りのスイートポテトは、たっぷりのりんごを包んでも綺麗な形を保てるよう、しっかり火で練って水分を飛ばすというのもポイントの一つだそう。また、表面のつるんとした赤いグラサージュは、人工的な色素ではなく、体にやさしいものを使いたいと、紫芋のパウダーを採用。ベースとなるスイートポテトに使うさつまいもの品種によっても色が変わり、安納芋を使ったところ綺麗な黄色になり、グラサージュをかけた時の赤色もより鮮やかになったそうです。今後、お店でも、テイクアウトできる形で販売を検討するとともに、「4月以降は、新しいお店で、デザートとしても提供していきたい」という田中さん。ご実家の岐阜から送られてくる柚子も使っているそうですが、りんごとの相性がいいので、一緒に合わせた一皿も考えてみたいとおっしゃいます。
松本市並柳の高台に位置する新店舗の場所は、ご主人のご両親が予約限定のレストランを開業されていた場所で、そこをお二人が引き継がれ、新たな一歩を踏み出します。遠くに北アルプス連峰の穂高岳も見渡せる、気持ちのいい眺望。わざわざ訪ねたくなるレストランになりそうです。
田中さんは、この「松本スイーツコンテスト」に参加したことにより、様々な変化があったとおっしゃいます。まずは、お店の宣伝になったということ。販売イベントなどにも出てみたいという思いがあったそうで、それが実現した形となりました。さらに、これがきっかけで、他の出場者の方々との交流が生まれたこと。2018年に発表された、新たな松本名物菓子「ミソラサンド」開発プロジェクトに参加したもその一つ。和菓子、洋菓子、レストランなど、業態の違いを超えて職人達が集い、共同で商品開発をするというのは、全国でも珍しい例です。
「松本は、食材にも恵まれ、水も美味しい。洋梨やカシスなど色々な果物も栽培されていて、自分で収穫に行ったこともあります。蜂蜜なども、地元産のものが手頃な価格で手に入ったり。今後、商品開発などの機会があればやってみたいし、松本を皆で盛り上げようという気持ちを持った方に、ぜひこの事業に参加していってほしいです。」という田中さん。これからも、スイーツを通じて、松本の魅力を発信していってくださることを、楽しみにしています。

準グランプリ
- 作品名
- いちごいちえ
- 氏名
- 杉山 紀美子
- 店舗情報
- プロヴァンスの日曜日
松本市南浅間635 TEL 0263-45-5558
松本市並柳4-3-35(※平成30年4月移転予定)
松本産の一本ねぎと味噌を、バターとアーモンドが香るフィナンシェに合わせ、クルミとえごまの食感を加えました。松本とフランス菓子の新しい出会いから誕生した香ばしく奥深い味わいをご賞味ください。

第3位
- 作品名
- 日本酒とリンゴのヴェリーヌ
- 氏名
- 大塚 泰裕
- 店舗情報
- パティスリーニューモラス
松本市小屋南1-12-1 TEL 0263-31-6228
大信州酒造の純米酒がリンゴの繊細な香りを広げ、優しく使用したスパイスが全体に奥深さを与えます。アクセントに柚子のジャムを使用し、一口ごとに甘みや酸味、香りが作り出す表情を楽しめる大人のデザートです。

入賞
- 作品名
- まつもと蔵ムボール
- 氏名
- 堀内 美恵子
- 店舗情報
- M’s Factory
松本市南松本1-9-4 TEL 0263-28-8099
芳醇なラム酒香るしっとりとした生チョコのようなケーキ生地と、松本の銘酒に漬け込みスイートチョコでコーティングしたレーズンのなめらかな舌触りが特徴です。濃厚な味わいがクセになる、新食感トリュフです。

入賞
- 作品名
- 御穀豊城
- 氏名
- 井上 雅恵
- 店舗情報
- 万寿堂
松本市旭2-3-10 TEL 0263-32-1835
スーパーフードとして今注目の雑穀。もち米に松本平産のそばの実・ひえ・あわ・きびを加えてもっちりと蒸かし、皮には松本の味噌の風味をきかせました。良質な材料にこだわり、手作りで仕上げています。