松本スイーツコンテスト2020 審査結果

グランプリ
- 作品名
- kinari
- 氏名
- 丸山 恵
酒粕ムースとコーヒームース、りんごのコンフィチュールをホワイトチョコのグラサージュで包み込みました。松本の清涼な雰囲気とともに、松本を代表する食材の絶妙な調和を味わえるスイーツです。
2020年2月1日、「松本スイーツコンテスト」の最終審査結果発表と表彰式が行なわれました。「松本の新しい顔となるスイーツをつくる」をメインテーマに、第5回目を迎えた今回は、「商品化部門」と「夢スイーツ部門」の作品を募集。「商品化部門」のグランプリに選ばれた丸山恵(まるやま けい)さんに、お話を伺いました。

丸山恵さんの作品「kinari(きなり)」は、白い色のコーヒームースの上に、松本城下「善哉酒造」の酒粕を使ったムースを重ねた構成。コーヒームースには、松本市内の自家焙煎コーヒー豆店「豆とコーヒー Laura」の「コロンビア スウィート&フラワー」を使用。酒粕の風味を大切にするため、豆のまま冷たい牛乳に漬けることで、コーヒーの苦味を出さずに香りを引き出したそう。コーヒー色ではなく、お菓子の名前のとおり「生成り」色のムースですが、口にするとコーヒーの風味と香りがふわりと広がります。
ムースの中には、松本市今井産のりんご「シナノスイート」を使用したコンフィチュール入り。天候の影響などで規格外品になった果実も積極的に使用したいと、見た目が気にならない角切りにして、シャキッとした果肉の食感も残しています。
ケーキの外側を囲むように飾っているのは、そばの実入りシュトロイゼル。粒が大きく、香ばしく豊かな風味が特徴の「奈川の純そば茶」を混ぜて焼き上げたもの。やわらかいムースに対して、食感のアクセントにもなっています。
全体はホワイトチョコのグラサージュで覆い、松本の清涼な空気を表現したそうです。りんごチップを飾り、「決して派手ではないけれど、松本の人々が育んできた文化を新しい味わいで表現したいと思いました」という言葉どおり、凛とした美しい佇まいのケーキに仕上がりました。

実は、丸山さんは現在、お店でお菓子の販売をしている訳ではありません。元々、松本生まれで、関西の製菓学校を卒業後、東京などで働き、数年前に松本に帰っていらしたそうです。飲食店勤務も経験されていて、お菓子の仕事をしようか迷われたそうですが、菓子製造現場での仕事は体力も必要なので、色々と考えた結果、ご自身でお菓子教室を主宰することになさったそうです。
そんな中、第1回の「松本スイーツコンテスト」のことを知り、興味を持ったものの、第2回以降はプロが対象になっていたため条件に合わず、この第5回目で再びプロ・アマチュア問わず参加できることになったので、挑戦したとのこと。

県外の友人に松本のイメージを聞くと、「りんごかな」と言われるそう。今回の「kinari」を考えるにあたって、りんごは他にも使う方が多そうだな・・・と思うところもありましたが、やはり皆さんが食べたいと思い期待している素材ではないかと考えた、と言います。
酒粕は、丸山さん自身も初めて使う素材でしたが、松本市内には酒蔵が5軒もあり、やはり松本を表現するうえで、ぜひ採り入れたかった。また、松本には昔ながらの喫茶店が多く、丸山さん自身も小学生の頃、お気に入りの喫茶店の「モカパフェ」があったのだとか。一方で、帰郷した松本に新しいカフェや自家焙煎コーヒーの店なども増えているのを見て、この町のイメージをお菓子に折り込むことができる素材だと考えたそうです。

実は丸山さん自身も、苦いコーヒーは苦手。今回は、自家焙煎コーヒー店の方に教えていただき、香りがよく華やかな味わいのものを選択。また、酒粕という素材も万人受けするものではないので、お子様にも召しあがっていただけるよう配慮したそうです。特に酒粕を入れる量は難しく、少しずつ変えながら試作を重ねたと言います。
コーヒーと酒粕という組み合わせは、正直なところちょっと意外な印象でしたが、酒粕ムースにバニラを入れることで、つなぎ役になって、ミルキーでクリーミーなイメージにまとまったとのこと。一方、りんごと酒粕は相性がいいだろうというイメージがあったそう。確かに、「吟醸香」と呼ばれる日本酒の香りの中には、りんごのようなフルーツの香りもあると言われています。
一般的に、素材の種類が多いと、味が複雑すぎてバラバラになってしまう傾向がありますが、この作品は、繊細なバランスで、食べやすくまとまっていました。お話を伺うと、1つ1つの素材を丁寧に選び、それぞれの良いところを活かしたいという強い思いをもって取り組まれたことが伝わり、なるほどと納得できました。

今後の目標について伺ったところ、「お菓子教室は続けていきたいですが、今年は、イベントに参加させてもらうなど、これまで以上に、外に出ていきたいです」と話す丸山さん。
地域の伝統的なおやつを習いたい、ということも考えているそうです。
たとえば、長野の北信地域に伝わる春の伝統食「やしょうま」。花の模様を描き出した米粉生地のお菓子で、一度作ったことはあるけれども、改めて習って、「あえて今風にしなくてもいいですが、今の人でも作りやすいようにちょっとアレンジして発信していきたい」とのこと。
「お父さん達にも、もっとお菓子を作ってほしい。“パパ向けお菓子教室”も企画したいですね」と目を輝かせる丸山さん。この「松本スイーツコンテスト」の事業を通じて、和菓子店、洋菓子店、レストランなど、業種を超えてさまざまな交流が広がっていることに感銘を受けているそうです。
これからも、丸山さんならではの視点で、「松本スイーツ」を盛り上げる、新たな一歩を踏み出していかれることでしょう。さらなるご活躍を楽しみにしています!

準グランプリ
- 作品名
- 賀寿
- 氏名
- 井野 七虹
- 店舗情報
- パティスリーニューモラス
〒399-0038 松本市小屋南1-12-1
TEL 0263-31-6228
酒粕を合わせたチーズガナッシュと個性的な5種類の食材の味わい楽しめるギフトスイーツです。スイーツの街・松本のイメージに対する作り手の強い想いが込められています。

第3位
- 作品名
- 松本アルプス
- 氏名
- 大塚 泰裕
- 店舗情報
- パティスリーニューモラス
〒399-0038 松本市小屋南1-12-1
TEL 0263-31-6228
アボカドとりんごのムースリーヌを、ココナッツの香りで奥行きを持たせることで、爽やかで優しい味わいと香りが広がります。

審査委員特別賞
- 作品名
- 霜菓
- 氏名
- 井上 雅恵
- 店舗情報
- 手作り和菓子の万寿堂
〒390-0802 松本市旭2-3-10
TEL 0263-32-1835
ナッツの食感を楽しめる餡をりんごのグラッセと合わせた種で包んだ、新しい和菓子に仕上がりました。

審査委員特別賞
- 作品名
- 音泉苺のジュレ
山葵と山辺ワインのハーモニー - 氏名
- 近藤 美希
- 店舗情報
- 御菓子処藤むら
〒390-0811 松本市中央2-9-19
TEL 0263-32-1421
苺ジュレと山辺ワインのサバイヨンにほんのり山葵を利かせた見た目も爽やかなスイーツです。

夢スイーツ部門金賞
- 作品名
- そばモンブラン
- 氏名
- 青島 花桜さん